対談
2012年6月25日
リハーサルの合間、初演からライサンダーを演じている小林洋壱さんがヘレナ役の五十嵐妙子さんと私と対談をしたときの様子です。
Facebookの小林洋壱さんのイベント「東京シティ・バレエ団、真夏の夜の夢」のページでもご覧頂けます。
以下、Facebookより引用……
<ヘレナ役のお二人にお話しを聞きました。
7月7日(土)大石恵子 8日(日)五十嵐妙子>
__2人とも初役ですが、役作りについて聞かせてください。
大石:私は、シェイクスピアの小説を読んで、あとABTのビデオを見ました。
五十嵐:私もABTを見ました。
大石:「真夏の夜の夢」自体の話が、コミカルな喜劇みたいな感じだから、あんまりシリアスになりすぎないように。強くないけど、曖昧な感じじゃなくて、ストレートに表現すると、ヘレナの面白さが浮き出るかなって思います。
五十嵐:そうだよね。コメディーだからね。シリアスにならないようにした方がいいかもね。
大石:ハーミアとライサンダーは愛しあってて、絵に描いたような理想のカップルだけど、わたしたちのヘレナは、追いかけて、好かれてないにずっと追いかけて、嫌われても、でもそれでもめげなくて、すごい強い心の持ち主。そう考えると、やりすぎるくらいでもいいのかな。
中島先生には、それがダメって言われることもあるんだけど。
あ、あんまり、自分と違いはない気がします(笑)
(中島先生:今回の真夏の夜の夢の演出振付)
五十嵐:(笑)それは見ててわかる。
大石:やってみたら、ヘレナのキャラクター全部、自分そのものな感じがするから、そんなに大変ではないです。普段もそんな感じです(笑)。
五十嵐:でもなんか、あんまりやりすぎて品がなくならないようにはしたいかな。
それが難しいよね。シリアスになりすぎてもダメだし、見てておかしかったり、笑わせたいでしょ。
大石:笑い取りたい!!
でもそれじゃ芸人になっちゃう(笑)
五十嵐:何かやるにもちょっと大げさにやった方が面白いよね。
そういえば、ディミトリウスって、最初はヘレナのことが好きだったんだよね?
大石:もともとは好きで、昔みたいになりたい、みたいなことは小説に書いてあったね。
でも、一回好きになって付き合った人って、心と心がつながってるじゃないですか。ときどきほんとに大嫌いになっちゃう人もいるけど、だけど、そういう相手ってなんとなく、わかれてもう一回会ったとしても、つながってるところがあるから…
五十嵐:それってでもヘレナだけじゃん。ディミトリウスの方は違うよね。
大石:あ、そっか。
ディミトリウスは何とも思ってないけど、ヘレナはずっと好きでした(笑)っていうパターンだね。
五十嵐:ヘレナってかわいそう。
大石:だけど、そのかわいそうさが売り、それが滑稽に見えるといいかな。
まぬけっていうか、笑っちゃうくらいかわいそうな感じに見えたらいいと思います。
五十嵐:そうだね。でも、そんな一生懸命な人って、かわいいよね。
そんな風になれないもん私。
__バレエ団のDVDも見たりしますか?
大石:バレエ団のはあんまり見てないです。音の取り方とか、あと、たぶんこれは絶対した方がいいんだろうなっていうようなことは、見るけど、キャラクター作りは別ですね。私が思ってるヘレナと初演のヘレナが、何か別な気がして、何かしっくりこなくって…。
五十嵐:私は美奈さんが好きだから、真似しちゃう。すごく頭に残ってる。結構見ちゃった。
気楽な感じ、暗い感じじゃなくて…、それでも負けないけなげなヘレナを演じてて。
(美奈さん:初演時のヘレナ)
大石:たぶんヘレナは自分のことしか見えてないんじゃないかな。おまえなんか嫌いだ、ってされても、「私は悲劇のヒロイン、それでもあなたのことが好きよ」みたいな感じ。
妄想癖っていうのかな。読書が好きだから、きっと空想の世界で、ずっと好きって思ってれば、いつか向こうも振りむいてくれる、みたいなのが、森に入る前の祈るシーンで表現されてるのかな。
五十嵐:私は、ヘレナって、ハーミアのことをうらやましいって思ってると思う。ハーミアはいつも綺麗でっていう、あこがれを持ってるのかな。
だからちょっと陰な部分もあると思う。だから、100%自分の中の空想世界、みたいな感じではないのかな。
大石:そっかぁ。少しづつ違って2日間とも楽しいですよ、きっと。
五十嵐:両方観くらべると面白いかもしれませんね。