対談 その3
2012年6月30日
今回は、振付けをされた石井清子先生のお話です。
以下、Facebookより引用
東京シティバレエ団公演
「真夏の夜の夢」
振付の石井清子さんにお話しを聞きました(2012年6月27日談)
_バレエ団のオリジナルバレエ「真夏の夜の夢」についてお話を聞かせてください。
「真夏の夜の夢」をどうして創ったかという話からしましょうか。
「真夏の夜の夢」は、妖精とか、恋愛とか、バレエが得意とする題材の物語だったの で、これをバレエにしたら面白いと思って2003年に初演した作品ですね。白鳥になっ てみたり妖精になってみたり、何にでもなれるのがバレエですからね。
外国にもいっぱいバレエ化した「真夏の夜の夢」がありますよね。妖精の物語とか、 特に、恋愛物でいざこざがあったりして、うちのバレエ団でもレパートリーとしてあったら面白いんじゃないかなと思ったんです。
シェイクスピアの悲劇が日本人はとっても好きだけれど、シェイクスピアの作品の中にも、「お気に召すまま」とか、今回やる「真夏の夜の夢」といった喜劇のもあるので、そういう笑いを含んだ作品もバレエにいいんじゃないかなというのが最初に創った動機でした。
メンデルスゾーンの音楽を使っているんですが、メンデルスゾーンの音楽は、もともとバレエのために創られた音楽ではなくて、劇音楽だから、いろんな音が入っていますよね。例えば、妖精の羽の音なんかが十分に感じられるような表現がされている音楽で、妖精達が空を飛び交うような動きをその音楽に乗せたいな、などと想像して創
りました。
今までは歌が入ってなかったんですけど、新しい試みとして、歌を入れた方が楽しいかな、ということと、若い歌い手さんを起用するというのも一つの目玉だったので、今回歌を入れることにしたんです。今日のリハーサルを見ていて、歌の人も舞台に出ていたら面白いなと思って、中島くん(演出・振付)と相談しまして、舞台上に出演してもらうようにしようと思っています。
オーケストラボックスとか舞台袖とか、お客様から見えないところで歌うのももったいないのでね、劇の中の一部に歌声を入れちゃおう、って思って今日提案してみました。
_リハーサルを見ていてどうですか?
楽しく見させてもらってますよ(笑)
そうですねぇ、前回出演した人達は全体の意味がわかっているからいいんですけど、新しく今回初めて出演する人達に、もうちょっと意味を説明した方がよかったかなっていうところがまだあるんですよね。それは、コールドバレエの人達もそう。どういう気持ちでやってるのか、っていうことをもうちょっと台本をちゃんと読んで、説明
するべきだったな、って思います。
それと、細かいところで人間関係やシーンの状況がまだできてないなぁ、って思って
見てました。
きっかけがとても大事な作品だから、例えば、人間関係の行き違いがいくつかある訳だから、そのきっかけがよく伝わるように演技していかなきゃならない。演技のタイミングがうまくいくとスジがとてもよくわかるけど、タイミングがちょっとでもずれると、全然わからなくなっちゃうんですよね。
バレエってすごく不思議で、例えば小説で、この人とこの人はどういう恋愛関係かということを書くのに1ページで書けたとしても、バレエでは、サッと手を握るだけで表現できるかもしれないし、例えば、秘めたる恋だったら、背中合わせで隠れて手を握っただけでも表現できちゃう。そういう、一瞬で言えてしまう良さもあるし、例えば、誰かと誰かが従兄弟である、っていうことはバレエでは言えないわけですね。恋人という関係は言えるかもしれないけれどね。演劇に対してその辺の難しさがある。
バレエじゃ表現できないことと、バレエだからいいところ、バレエじゃなきゃできな いこととがあると思うんですよね。だから、演技の咬み合いがちょっとずれると、訳がわからなくなっちゃう。その辺を大事にしたいですよね。
そういったことを、これから本番までに詰めていかなくちゃいけないなと思っています。
この作品は中島さん(演出・振付)と一緒に合同で振付してるから、どこまでが誰の振付でどこからが誰の振付かわからなくなってるところがたくさんあるんですね(笑)
2幕最後の「星のパ・ド・ドゥ」なんかは、主役のパ・ド・ドゥが先にできちゃって、そこにコールドバレエをくっ付けて、って言われて創ったんですね。そういう経験が今までなくてね。主役の動きに合わせてコールドバレエの動きを創るっていうのはなかなか面白い体験でしたね(笑)普段は一人で創るのでね。
でも、うまくそれぞれの良さが出せれば、バレエ団の作品として良くなっていくかなと思って、喧嘩もせずにやってみています(爆笑)